次女の幼稚園では毎月2回ほど縦割り遊びというものがある。
年少から年長まで年齢に関係なく一緒に遊んだりゲームをしたりおやつを食べたりするのだけれど、参加は自由で縦割り遊びを欠席にしていつも通りの時間に帰ることもできる。
出席にすれば16時まで預かっていただけるので、ここぞとばかり、お母さんたちはそれぞれ好きなことをして羽根を伸ばすことができる。
長女が幼稚園時代はお家大好きな長女が縦割り遊びに参加したがらずほとんど参加したことはなかった。
長女は園バスを利用していたので、縦割り遊びを出席した場合は園まで迎えに行かねばならず、それが面倒だったのでわたしも欠席の方が気が楽だった。
長女が年中さんだったある日、縦割り遊びがあり、たまには平日に映画でも行きたいなぁと思って、長女に頼み込んで出席にしてもらった。
わたしは電車に乗り、映画館に行った。飲み物を買い席に座り映画が始まった。
おひとりさまの映画館はいいなぁと胸が躍った。
映画がクライマックスを迎えようとしていたとき、映画館が揺れ始めた。
しかも尋常じゃなく。
その映画館は6階だったが、高架の上に建っているビルなので、地上から9階分くらいの高さにあった。
映画館にパッと灯りが付き、逃げ始めるお客さんがいた。
その日は東日本大震災の日だった。
東日本大震災の2週間前にニュージーランドの地震でクライストチャーチ大聖堂が崩れ、沢山の死者が出たというニュースを思い出し、このビルが崩れてわたしは死ぬかもと思った。
そして長女のことを思い出し、迎えに行かなきゃと思った。
ただここにいてはいけない、わたしも逃げなきゃと思い、何番シアターだったか憶えていないが、そこから廊下に出たけれど、あまりにも大きな揺れで立っていられない。
係員が「座ってください!!!」と言った。
揺れがおさまってきたので映画館のロビーに向かった。そこではロビーにいたお客さんたちが1ヶ所に集められていた。
係員が「今入ったニュースだと、震度5だそうです」と言うと、お客さんたちが「えぇーーっ?!?!」と叫んだ。
わたしはそれに構わずそこを通過、夢中で駅まで走り電車に飛び乗った。
でも余震が続いていたので電車はいつまでたっても動かなかった。
携帯電話も通じないので長蛇の列に並んで公衆電話から幼稚園に電話をかけた。
電車が動かないのでいつ迎えに行けるかわからない、と。
このときのわたしの気持ち、おわかりになるでしょうか。
なんでこんな日に映画なんて観に行っちまったのか、、、、。
長女はきっと不安な気持ちでいるだろうなと考えたら本当にかわいそうで申し訳なかった。
「英国王のスピーチ」なんてどうでもいいじゃないかと。
結局、長女は幼稚園のお友達があずかってくれて、その後パパが会社から4時間歩いて自宅まで戻り、長女を迎えに行ってくれた。
電車が動き出したのは翌日の0時過ぎで、1時ごろにやっと家に帰ることができた。
あれ以来わたしは1人で映画館に行けなくなってしまった。
次女の縦割り遊びの日は家にいます。
そりでは、また〜。